山崎豊子「沈まぬ太陽」
年末に全巻まとめ買いして正月休みに読もうとおもっていた
山崎豊子の「沈まぬ太陽」をようやく読み終えました。
時間かかったなあ。
日本航空(JAL)を舞台にした実話ベースのフィクションです。
労働組合で労働状況の改善に努めた主人公が左遷させられたり
墜落事故の対応をしたり、会社をなんとかするために就任した
会長のサポートをしたりするはなし…。
ここで書かれている「国民航空」がとにかく腐りきっているわけで、
当時はかなりJALから抗議されたようですね。
途中から「なんで恩地は辞めないのか」という気持ちでモヤモヤします。
実話ベースなので登場人物の行動原理が理解できないところもいくつか。
個人的には行天の扱いやすさが気になる…。
告げ口だけであんなになることないだろう。
あんまり読んで楽しくなる話でもないのですが、それでも御巣鷹山の
墜落事故あたりは興味深く読みました。
この事故、小学生の頃だったんですよね。
いろんなことを忘れる自分にしては、この事故はすごい鮮明に覚えています。
小学生の夏休みで思い出すのはこれとつくば万博。
ずっとニュースでやってたなあ。
このあたりの描写が克明で、遺体収容などショッキングな描写もあります。
主人公の遺族係としての行動もいたたまれないところ。
腐った組織をなんとかするために関西紡績から会長が就任するわけですが
これも「カネボウ」の会長がモデルなんだそうです。
指名した総理大臣は中曽根…などと現実とのリンクを楽しむのも悪くない。
でもここまでやって堕ちきったJALを、なんとかした稲盛和夫すごい。
当時のJALの内情や御巣鷹山の事故について知るためには最適な一冊。
恩地の行動も美化バイアスがかかっているような気もしますが。
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