ECDの思い出
そんなに好きなほうではなかったのですが、いざ亡くなってしまうといろいろ思い出し、自分の中ではなかなか重要な人だったようにも思えます。ヒップホップレジェンド。
20歳くらいのときにバイトをはじめたレコード屋さんで、「ホームシック」発売のインストアライブをやってくれたのを仕事しながらみてました。思い返すと、あれが生まれてはじめて見た生のラッパーってことになる。
ラップのスタイルは正直あまり好きではなかったな。前のめりにワードを詰め込み、一定の抑揚で韻も少ないというスタイルは当時であっても少し古臭く感じて、あまり好んでは聴いてなかったです。それでもちゃんと頭に「漫画で爆笑だあ!」や「マス対コア」は残ってる。さんぴんキャンプの冒頭の映像とかはヒップホップ原風景のひとつです。
最大の功績は「CHECK YOUR MIKE」とか「さんぴんキャンプ」などのイベントを開催したこと。それぞれエポックではあるはずなのに、本人のパフォーマンスはシーンから浮いてみえるところが切ない。何やってもシーンの真ん中にはいけない存在っていう印象があります。
そんな感じで距離を置いて感じていたECDですが、「失点・イン・ザ・パーク」で人生を転がり落ちていく様を読んで、けっこうな衝撃を受けました。こんだけシーンに貢献しているのに、シーンどころか社会からも受け入れてもらえなかったのかと。
キーボードでサンプラーの音をだしながらライブするスタイルになると、もう聴いてられなかったな。本人のルーツであるパンクには回帰していったんだろうけど、無茶苦茶だなと思ってたし、その後のサウンドデモに傾倒していく様を眺めるたびに複雑な気持ちになってました。
近年は家族に囲まれて幸せに見えていたところはあったのですが、癌を公表して1年ほどで逝ってしまうあたり、最後まで不器用で残念だったなと。なんだかんだいっても憎めない存在で気になってたんだから、結局好きだったのかなあ。さよならECD。
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